大粒の雨が窓に打ち付けては散っていく。
 ネオンの明かりが雨降るシティに乱反射している。いつでも明るいシティの夜が今日は、ひときわ暗い。
 窓際の席でニールはぼんやりと頬杖をついて眺めていた。立ち並ぶシティ・ビルの明かりが雨にぼやけ、ネオンライトがぎらぎらと視界に煩い。
「アクアリウムに、新しい魚を入れたのですよ」
 ニールの背後から現れたウェイトレスが、恭しくグラスと酒瓶をテーブルに置きながら言った。
 ニールは答えず、緩慢に振り向いた。薄暗い店内の真ん中に、大きな水槽がある。ぼんやりとライトアップされたそこに、シティにありがちな派手さはなく、たゆたう水に色とりどりの魚が泳ぎ回っている。どれが新しい魚なのかは、もちろんニールにはわからない。
 ウェイトレスはもう去っていた。
 自ら酒瓶を開け、グラスに注ぐ。
 琥珀色の液体に、窓の向こうのネオンの色が混じっている。

By 竹環

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